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フジの咲かせ方
はじめに
フジは、栽培技術が難しい花木ではないかと思います。日本の伝統的なフジの管理技術は『NHK趣味の園芸 フジ』(川原田 林)に示されていますが、この方法では「都会のフジ」はまず咲きません。原因は”夏の気温の高温化”と”土が悪い”ためです。前者は地球温暖化とヒートアイランド現象に起因し、後者は、都会のフジの多くは公園や学校の校庭に植えられていて、真砂土(山土)が使われているためです。真砂土には有機物がほとんど含まれておらず土壌微生物が育ちにくいのです。本ページは一般的なフジの管理技術と共に、都会特有のハンディーに配慮した最新のフジ管理技術概要を示しました。
咲かせるための基本条件
フジは「水」と「太陽」
フジを咲かせるためには、絶対に水を切らさないこと、それと日当たりのいいところに置く、が基本です。
剪定
冬の剪定、夏の剪定も必須です。手入れをしないフジはほぼ咲きません。
鉢植えの藤の管理
鉢植えのフジは、地植えのフジと比べて、次のような特殊性もあり、これらに留意して管理します。
- 用土の量が少ないので水涸れを起こしやすい。
- 樹形が目標の大きさに達したらそれ以上大きくしない。
- 数年ごとに一まわり大きな鉢に植え替えると元気を保つ。
よい苗木の入手と入手後の手当
よい苗木とは“花が沢山ついていること、幹が太く丈夫なことです。入手したフジが、使い捨てのポットに、粘土質の土に植えられている事があります。この場合は花が終わってから別の植木鉢に用土を入れ替えた上で移植して下さい。

藤の苗木を販売している。
水涸れ対策としての「腰水」
フジは一時的にでも水涸れを起こすと真っ先に花芽が弱りますので翌年咲かなくなります。真夏の水涸れ防止のため、腰水をお薦めします。あまり深く水に浸けず、下から半分ないし3分の1程度、浅く浸けておきます。梅雨明け頃から初め、9月のお彼岸の頃にやめます。一時的な水涸れが、咲かない一番の原因である事をご理解下さい。

花殻摘み
花が終わったら必ず花殻摘みをします。この時、花の根本付近の新芽は絶対に切らないように注意してください。

初夏から夏にかけての剪定
花柄落としから梅雨明けにかけて、伸びてくるツルの根元から30~50cmで切り戻します。2番ツルが発生すると、その根元から切除します。混み合わないようにその後発生するツルは根元から切除します。夏の間にツルが茂りすぎないように保つのが花成のコツです。



冬の剪定
2月~3月上旬にかけて、冬の剪定をします。花芽を残し葉芽をすべて落とします。




花芽と葉芽の見分け方
花芽は先端が丸みを帯びていてややツルの表面から浮き上がっている。葉芽は先端がややとがっていてツルの表面にくっついています。
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鉢植えのフジの植え替え
鉢植えのフジは年数が経つと徐々に根が詰まり、水・空気が通りにくくなると、一回り大きな鉢に、赤玉土を主に鹿沼土・桐生砂・腐葉土(堆肥)を混ぜて入れます。次の年に花を咲かせる木、弱っている木は強い根捌きをしない。


地植えの藤の咲かせ方
苗木を地植えして棚作りをして咲かせたいケースと、既にあるが咲いていない藤棚のフジを咲かせたい、2つのケースについて解説していきます。
鉢植えのフジを地植えして藤棚にして咲かせる。
鉢のまま植える
あらかじめ植える周辺の土を1m四方程度掘り起こし、腐葉土・クン炭・赤玉土・鹿沼土などを土に混ぜて土壌改良をしておきます。肥料は使いません。植える際は使っていた植木鉢の底をノコギリで切り抜いて植木鉢のまま植えます。根を動かさないような植え方で植えるのがコツです。

ツルは一本・葉芽は二個だけ残す
ツルが沢山出てきますが一本に間引きます。こうして木のエネルギーを一本のツルあるいは一個の芽に集中するのです。
ツルを誘引する
伸びてくるツルをシュロ縄に絡ませ、目的の場所に誘引していきます。春に地植えしますと梅雨明けには、先端(頂芽)はもう棚の上まで届いています。この間、側芽が2番ツルになることもありますが早めに切除します。棚の上に届くと、少し伸ばしてから一度切り戻します。2番ツルは2本以上発生することがありますが、その1本々々をそれぞれシュロ縄に絡ませ四方に誘引します。
フジの品種を選ぶ
この時植える品種は、一才フジ系、特に「野田一才フジ(黒龍藤)」が高温障害にも強く、花が短枝に着きやすく、花房も60cm程度と一才フジとしては比較的長いのでお薦めです。ナガフジ系は成長が遅くお薦めできません。なお、実生(種)から育てると、開花するまで最低12~3年かかりますのでお薦めできません。

咲かない藤棚のフジを咲かせる方法
藤棚の大掃除
時折、長年手入れされないまま、咲かずに放置されているフジは、ツルは伸び放題、徒長枝が支柱やワイヤーに絡まって勢いよく伸びています。これらのフジは、先ず藤棚の「大掃除」から始めます。
交差している枝、重なっている枝、絡まり合っているツル、幹から派生している萌芽、棚の下に繁っているツルを切除します。こうすると山のように廃材が出て、藤棚はほぼ丸坊主になります。残った枝・ツルは棚の上に広げてシュロ縄で固定しておきます。
多くの場合、その年の夏にはもう藤棚一杯に葉が茂ります。こうした上で、通常の手入れをすれば、大抵は翌年から咲き始めますが、2~3年待たないと咲かないフジもあります。


初夏の剪定
5月末~6月末にかけて軽く剪定します。目的は花芽を沢山付けるためです。初夏の剪定は主にツルの剪定です。その手順を紹介します。
- ツルは弱いツル・強すぎるツルを選んで、3割~4割程度を間引きます。
- 残ったツルは、50cm(5芽)から80cm(8芽)で切り戻します。太陽の光が内部までよく届くよう、ツルが混うに保ちます。
- こうすると梅雨明け頃から8月にかけて、ツルの付け根付近の側芽が花芽に転化する。
- 内側に伸びる”ふところ枝”には太陽が当たらないので根元近くで切除する。
- 徒長枝は木の状態を見て、枝に使いたい場合は2~3本残し、その他は切り除く。


高温障害対策
フジには「高温障害」があり35°c以上の猛暑日が続く場合は次のような対策をとります。
【撒水強化】週1回程度の散水では水涸れを起こします。水涸れを起こすと真っ先に花芽がダメージを受け、次いで葉芽が、更に葉っぱが萎れてきます。自動散水機やスプリンクラーも大変有効です。また真砂土など乾燥しやすい土壌の場合は、夏ばかりでなく春や秋にも水涸れを起こすことがありますので、表土が乾いたときは散水します。
【地表からの水の蒸発防止】土の保水性を高めるために、腐葉土・鹿沼土などを多量に埋め込み土壌改良をします。更に表土からの水の蒸発防止対策として、ワラや腐葉土で覆い水の蒸発を押さえます。コケや背の低い雑草は抜かずに放置しておきます。雑草やコケに養分を取られるのでこれらを取り除きたくなりますが、我慢して残します。
【真夏の「追加剪定」】フジのツルは春から初夏に発生しますが、「高温障害」を受けた場合は、どうしても散水を強化しなければなりません。7~8月になっても新しいツルがどんどん発生します。ツルが混み合ってくると風通しが悪くなり、高温障害を加速させます。真夏にあらたに発生するツルは、枝として使わない限り切除します。
秋以降は通行の邪魔になる、構築物に絡まるなどの場合を除いて、そのまま冬まで切らずにおきます。
冬の剪定
冬の剪定は、花芽を残して葉芽をほぼすべて切除します。また弱い花芽を取り除き、強い花芽のみ残します。後は花芽優先で、弱った枝を切除し、樹形を整えます。



肥料
肥料は「お礼肥」と「寒肥」です。お礼肥は5月上旬~中旬、寒肥は12月~1月に与えます。花が咲いたお礼という意味で「お礼肥」と呼びます。だから花が咲くまでは肥料は与えない方が咲きやすいです。一般に、窒素:リン酸:カリの割合は、4:6:1のようにリン酸リッチの配合肥料を少量与えます。鉢植えのフジは水やりが欠かせませんので、肥料は水と共に流れやすく、お礼肥・寒肥共に2~3回に分けて与えます。地植えの場合は少ない目に与えます。 マガンプのような効果が持続する遅効性肥料は、初夏の花芽形成期・初春のつぼみが膨らむ頃まで肥料が残りますので使わない方がいいと思います。
『都会にフジを咲かせましょう』
本ページの内容は、書籍『都会にフジを咲かせましょう』より一部を引用し、概要としてご紹介しています。誌面では、ここでは触れきれなかったより実践的な内容についても詳しく解説されています。フジ栽培をより深く知りたい方にとって、参考となる一冊です。ご関心がありましたら、ぜひ書籍もあわせてご覧ください。
ご紹介
フジは鉢植えでも丈夫に育ちます! おうちの庭で花を咲かせるコツと楽しみ方に加え,「藤之宮」総代の家系に受け継がれた文化史も紹介。
「野田の藤」に六百年間関わってきた令和の藤守「藤家」当主による“今までなかった“街でフジを楽しむ本。
咲かす。文化を知る。見に行く。
中世初期にはフジの名所として知られていた大阪・野田で、フジを守り続けてきた「藤家」当主によるなんでもガイド!
実践してわかった上手に花を咲かせる方法から、歴史にあらわれるフジ、文化史、全国の名所まで、この1冊にぎゅっと詰め込みました。フジを楽しむ工夫が満載。
・フジを咲かすのは難しいと思っていた方へ、じつはベランダでも咲きます。都会ならではの栽培のコツを解説!
・藤守が語る藤の歴史、文化
・都会から行きやすい名所33か所を紹介
「都会にフジを咲かせましょう」
藤 三郎 著 / A5判 / 224ページ
定価3,080円(本体2,800円+10%税)

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