フジの種類

フジは大きく分けて、ノダフジ、ヤマフジ、シナフジ、アメリカフジの4種類がある。この中で日本のフジの固有種はノダフジとヤマフジである。両者の大きな違いはノダフジは(上から見て)ツルが右巻きで花房が長く、ヤマフジは左巻で花房が短い。牧野富太郎博士は、日本には”普通のフジ”とヤマフジがあるとし、普通のフジをノダフジ(フジ)と命名した。シナフジは、ツルが左巻で花は比較的長い。ノダフジとヤマフジの中間である。日本ではあまり見かけないがヨーロッパでは時々見かける。アメリカフジはあまり鑑賞に適さないようで、ほとんど見かけないが”2季咲きのフジ”として販売されていることもある。

ノダフジとは

日本の植物分類学の草分け・牧野富太郎博士は「日本のフジには”普通のフジ”と”ヤマフジ”がある」とし、総称としてのフジと区別するため普通のフジを「ノダフジ」と名付けた。命名の由来は大阪市福島区玉川に咲いていた「野田の藤」には長い歴史があるためと、当時の(特に関東の)植木職人は「フジ」と呼ばず「ノダフジ」と呼んでいたため日本のフジの標準和名を「ノダフジ」と名付けた。

ノダフジとヤマフジの特徴

ノダフジ(フジ)

(学名:Wisteria floribunda DC)

Wisteria はフジ属の属名で、floribunda は「花が多い」という意味である。「ノダフジ」「フジ」は、日本固有種のフジの標準和名である。マメ科フジ属のつる性落葉木本で、南は九州から北は本州北端の青森まで広く自生する。

花房は30~100cmと長く、上から見てつるは右巻き(時計回り)に他物へ巻き付く。花弁は径1~1.3cmと小さめだが数が多く、花色は薄紫または白色である。園芸種には、ピンク色・紅色・えび茶色などもある。

小葉は13~19枚。若葉の表面には伏毛があるが、成葉になると無毛になる。ヤマフジに比べて耐寒性は強いが、夏の暑さには弱い。

ヤマフジ(ノフジ)

(学名:Wisteria brachybotrys Sieb. et Zucc.)

Brachybotrys は「花が短い」という意味である。本州西部、四国、九州および東海地方に自生する。つるは上から見て左巻きである。

花房はノダフジより短く10~20cmで、「カピタン(花美短)」とも呼ばれる。花弁は径2~2.5cmと、ノダフジに比べて大きい。若葉は両面に毛が密集している。花色は紫または白色で、香りが強い。

ノダフジに比べて開花が早く、夏の暑さに強い。花芽が大きく膨らむため、花芽と葉芽の見分けがしやすい。栽培しやすく、増殖用の台木としてもよく利用される。

春日神社付近で調査する牧野富太郎博士
(藤 平八撮影)昭和8年5月6日.
藤 平八撮影(牧野記念公園ご提供)

ノダフジとヤマフジの特徴比較

項目ノダフジ(フジ)ヤマフジ(ノフジ)
学名Wisteria floribunda DCWisteria brachybotrys Sieb. et Zucc.
名の由来floribunda=花が多いbrachybotrys=花が短い
分布九州~本州北端(青森)本州西部・東海・四国・九州
樹形つる性落葉木本(マメ科)同左
つるの巻き方右巻き(上から見て時計回り)左巻き(反時計回り)
花房の長さ長い(約30~100cm)短い(約10~20cm)
花の大きさ小さめ(径1~1.3cm)大きめ(径2~2.5cm)
花の数多い比較的少なめ
花色薄紫・白(園芸種は多彩)紫・白・紅色
香り弱い強い
開花時期ヤマフジより遅いノダフジより早い
葉(小葉数)13~19枚11~15枚
若葉の毛表面に伏毛、成葉は無毛両面に毛が密集
耐寒性強いやや弱い
耐暑性弱い強い
栽培のしやすさやや難しい比較的容易
その他の特徴花房が長く、見栄えがする花芽が大きく、芽の判別が容易。台木によく利用

まとめ(見分け方のポイント)

  • 花房が長く、右巻きのつる → ノダフジ
  • 花房が短く、左巻きで香りが強い → ヤマフジ
  • 寒冷地向き → ノダフジ
  • 暑さに強く栽培しやすい → ヤマフジ

ノダフジ系の園芸種

野田一才フジ(黒龍藤)・(中咲)
九尺フジ(遅咲き)
長崎一才フジ(中咲)
六尺フジ(野田長藤)遅咲き
アケボノフジ・遅咲き
昭和白藤(シロノダ)遅咲き
八重黒龍・遅咲き
本紅フジ・遅咲き
品種不明(普通に販売されているフジ)

ヤマフジ系の園芸種

紫カピタン(早咲き)
シロカピタン(早咲き)
昭和紅フジ(早咲き)
岡山一才フジ(中咲き)

アメリカフジ

  • アメリカフジ
  • 日本のフジ(ノダフジ・ヤマフジ)に比べてつるの勢いが穏やかで、管理しやすい
  • 開花期:5〜6月頃、花色:淡紫色~青紫色、花房は短め(10〜20cm程度)、奇数羽状複葉、小葉は楕円形で、全体的にすっきりした印象、 香りは日本のフジに比べて控えめ

シナフジ

シロシナフジ(早咲き)
緋チリメン(早咲き)
麝香フジ(早咲き)
  • シナフジ
  • 生育は非常に旺盛で、幹が太く木質化しやすい
  • 巻き付き方向:左巻き、花色:淡紫色〜青紫色(白花品種もあり)花房の長さ:15〜30cm程度葉が出る前に花が咲くため、花がよく目立つ。

「世界のフジ」の特徴の比較

品種系統学名(代表)主な特徴ツルの巻き方向花房の長さ備考
ノダフジ系Wisteria floribunda日本固有の「普通のフジ」。花房が長く、花数が多い。色は紫〜白など多様。寒さに比較的強い。右巻き(時計回り)長い(30〜100cm)園芸種も多数あり
ヤマフジ系Wisteria brachybotrys日本固有。花房が短く、花弁が大きめ。香りが強く、開花がやや早い。左巻き(反時計回り)短い(10〜20cm)ノダフジに比べ夏の暑さに強い
シナフジWisteria sinensisノダフジ・ヤマフジの中間的特徴。花房中程度。比較的ヨーロッパで見られる。左巻き中〜長日本では稀
アメリカフジWisteria frutescensつるの勢いは穏やかで管理しやすい。2季咲きとして扱われることも。左巻き短め観賞用にはあまり使われない

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